分譲派と賃貸派の終わりなき論争。
これまでずっと賃貸に住んでいたのですが、子供が生まれたこともあり、最近はずっとマンションを購入したいと考えています。
しかし、何から手を付けたらいいかわかりません。最近のマンション高いですし。
まずは情報を得るべしと思い、本屋さんでいくつか手に取った中で気になった「東京で家を買うなら」という本を読んでみました。
タイトルの通り、東京で住宅購入をする際の情報が中心でしたが、住宅購入のために知っておくべき知識が数多く収録されており非常に勉強になったので、読了記録をシェアします。
東京以外で住宅の購入を考えている方も、読んでおいて損はありません。
- マンションや一戸建てを購入しようと思っている人
- いずれは東京で住宅を購入しようと思っている人
- 住宅を購入しようと思っているが選ぶ基準がわからない人
Contents
概要:住宅を資産にするためには
結論から言って、本書を読んで感じたのは「住宅購入は資産構築である」ということです。
本書の冒頭では、住宅購入で幸せになるために守るべきポイントが3つ紹介されています。
- 資産価値
- 安全性
- 利用価値
どれも住宅購入の際には欠かすことができないものでありますが、全て完璧なものを追求すると、どれも逆に中途半端になってしまいます。何事にも言えることですが、優先順位とバランスが重要なわけです。
住宅購入を購入するためにはいくつものハードルがありますが、「買う方法」ではなく「選ぶ方法」が重要であると紹介されていました。選ぶ方法とは、上記3つのポイント満たしている、資産性のある住宅を選ぶための方法ということです。
一戸建てでもマンションでも、住宅は立地や日当たりの違いといった要素により、一つとして同じものがないため、着目するポイントによって大きく価値が変わってきてしまうことを知ることができます。
資産価値:資産としての住宅の価値
資産価値があるということは「換金性」が高いというだけではなく、「収益性」も高くなければならないのです。
東京で家を買うならp442より
「資産価値」とは、その名の通りマンションにどのくらい資産としての価値があるのか、つまり売却価格であったり、賃貸に出したときの賃料を保つことができるのかということです。
住宅には「消費の家」と「資産の家」があると本書では紹介されています。
住宅、特に木造一戸建ての場合だと、購入時から価値が下がり続け、25年程で価値はほぼゼロになるという考えが一般的とされています。そして実際にそのくらいの年数で建物の資産価値、つまり売却価額は0に近い状態となってしまうことが現状です。
しかし、家は本来「財産」であるべきであると本書では紹介されています。
つまり、年数が経過しても市場価格が下がらない家、「資産の家」を選ぶことが重要であるということです。
特に印象に残っているのが「「価格」ではなく「価値」で選ぶことが重要」という考え方です。
例えば、人気駅から近い利便性の良い4200万円の物件を購入できる家計の余裕があるにも関わらず、支払額をできるだけ少なくしようと保守的考えて、郊外で駅から通い3500万円の物件を購入したとします。
15年後の売却価格を考えると、利便性の良い4200万円の物件はそれほど価格が下がらない可能性が高いと思われますが、郊外の3500万円の物件は場合によっては半額以下まで大きく値下がりしてしまう可能性もあります。
このような場合、利便性の良い4200万円の物件は、当初の「価格」としては高く、月々の支払額は多くなってしまうかもしれませんが、「価値」が高いため、結果的には得をすることが多いと紹介されています。
このように、住宅を「資産」として考え、資産価値の高い住宅を選ぶためにはどのような点に着目したらよいかが数多く紹介されており、正しく選ぶことができれば住宅は立派な資産になるということを感じました。
安全性:地図からはわからない立地
マグニチュード7級の首都直下型地震が発生する確率は30年以内に70%
東京に家を買うならp1395より
安全性とは、「災害などが起きた時に安全な場所・建物であること」です。
地震大国の日本では、建物の強度や地盤の強さといった安全性も、住宅を選ぶ際の重要な検討要素であると本書では紹介されています。
安全性を考える際に重要となるのが、①立地と②建築基準法です。
「立地」とはつまり、いかに災害に強い場所に住宅が位置しているかということです。
日本は地震、洪水など、毎年数多くの災害が発生しているため、地盤の強度や海抜といった「立地」という面での災害に対する安全性は、場所を選ぶ上で非常に大きな要素となってきます。
冒頭に引用文として紹介しているように、大型の首都直下型地震が発生する可能性も非常に高く、ある意味災害が起こる前提で検討する必要もあると思います。
災害に対する安全性は単純に地図上の位置関係だけではわからない部分も多くあります。
例えば豊洲や有明は臨海部に位置しており、一見水害に弱いようにも見受けられますが、比較的新しい地域であるため、内陸部に比べ逆に海抜が高くなっているそうです。一方で東陽町や亀戸といった内陸部の方が地盤沈下の影響などもあり、浸水の可能性が高いと想定されているそうです。
そのため、荒川が氾濫した際には、逆に内陸から臨海部へ避難することが想定されているそうです。全然知らなかったです。
本書では、洪水ハザードマップや地震に関する地域危険度測定調査といった、地図上ではわからない情報も数多く紹介されていました。
「建築基準法」は、住宅などの建物を建築する際に準拠する必要がある法律です。
建築基準法は現在以下の4種類に区分されており、建物そのものの安全性について検討する基準としては、どの「建築基準法」に則して建築されているかという点があります。
- 旧・旧耐震
- 旧耐震
- 新耐震
- 新・新耐震
なんだか似たような名前でややこしいですね。
この建築基準法は、大きな地震が発生する度に見直しが行われてきたそうです。
新しい程より厳しい基準になっているため、安全性の面から考えると、新しい建物の方が安全ということになります。
例えば「新・新耐震」基準は1995年の阪神淡路大震災を受けて2000年に制定された基準であり、地盤調査が必須となり、耐震性能の基準も強化されています。
準拠すべき基準は建物が建てられた時期によって異なるので、気になっている物件がどの基準に準拠しているのかをしっかりと確認することが望ましいのでしょう。
安全性という面から考えると、やはり災害に耐えることができるかという点が重要となりますでしょうか。
一方、正直地震などは日本はどこでも起こりうるものかと思いますので、立地の面からは考えすぎてもしょうがない部分が大いにあると思います。
ですが、長ければ何十年、もしかしたら一生住む街、部屋かもしれないので、少し調べて回避できるリスクはしっかりと排除することが、精神的な意味でも幸せな生活を送ることにも繫がりますし、やはり安全性の高い立地にある物件は資産性という面からも価値を維持しやすいのではないかと思います。
利用価値:幸せの尺度は人それぞれ
「利用価値」とは、「住み心地」、「居住性」などとも言われますが、要はその家を利用することに対しての人それぞれのパーソナル(個人的)な価値観のことをいいます。
東京に家を買うならp1841より
つまり「利用価値」とは、その街に、その部屋に住むことで幸せに感じるかという点ですね。
どんな街に住むか、どんな間取りに住むか、その環境が幸せと感じるかどうかは人それぞれです。
例えば仕事に置き換えて考えてみると、激務だけれど給与も高いという仕事に幸せを感じる人もいれば、なるべく自分の時間を確保できる仕事に幸せを感じる人もいるかと思います。
それと同じように、マンションも資産価値ばかりが絶対的な指標ではなく、そこに住んだときにどう感じるか、幸せな生活を送ることができるのかも非常に重要な指標となるのだと思います。
まずは自分や家族が、どんな生活を理想とするのか、どんな暮らし方に幸せを感じるかということをしっかりと固めておくことが重要です。
私も前職では給与金額や企業名など、外見的な面ばかり気にして自分の気持ちを後回しにしてしまいました。
その結果、自分の本心とのズレに日々ストレスが蓄積し、最終的には身体を壊してしまった苦い経験があります。
特に住宅ともなると、毎日のことなので、日々の生活から避けることができません。
もし自分の価値観に合わないものを購入していまうと、非常に大きなストレスとなってしまう恐れがあることが想像できます。
結局のところ、そこで住むのは自分なので、自分の感覚を最も大切にすることが一番なのではないかと思いました。
手放すことで得られるものがある
不動産購入に成功している方たちは、自分の本当に叶えたい希望を「選ぶ」、そうでないものは「捨てる」ということを行っています。「いいもの」を手に入れるためには、やはり、選ばなければなりません。
東京に家を買うならp2264より
本書の中で最も印象的な一文です。
これは不動産購入だけでなく、人生全般に言えることではないかと思います。
あれもこれもと欲張って、いろいろと手を出し過ぎてしまった結果、全て中途半端になってしまったという経験のある方は多いのではないでしょうか。
私も大学受験や会計士試験など、これまでの人生でうまくいったときを思い返してみると、その目的のみに集中し、それ以外のことは手放していたことを記憶しています。
自分が絶対に外せないものを決めて、手放すものを明確化することが、トータルで考えると何事においても成功する秘訣なのかもしれません。
本書を読んで、住居を選ぶ際の私の優先順位は以下のようになりました。
利用価値>資産価値>安全性
私は自分の感覚が非常に繊細なことを自覚しているので、違和感のある状態で生活を送ることが非常に大きなストレスとなってしまうのではないかと予想しています。
なので、3つの要素の内「利用価値」に一番の重きを置いて物件選びをしたいと考えています。
事前に勉強をしたり数字で調査をすることは重要だと思います。しかし、最後は自分の目で見て肌で感じた感覚を信じ、この街で生活を送りたい。このマンションに住みたいという、言葉では表せない感覚を信じようと思います。
まとめ:住む場所がある安心感
“不動産を所有している方は、何があっても「まず住む場所はある」という安心感を得られている”と本書では述べられています。
欲求界隈で有名な、マズローさんの欲求5段階説で、「住む場所」は2番目に優先される安全欲求に該当します。生活の安全や健康に対する欲求であり、生きる上で非常に根本的な欲求ですね。
結局この安全欲求が確保されないことには、その上位に位置する、集団に帰属したいという社会的欲求や他者から認められたいという承認欲求を満たすことができないのです。
つまり、極論ではありますが、住宅の安全を確保しない限り人生を楽しむことができないということと、私は解釈しています。
確かに住む場所が確保されていないと、きっと休日遊んでいても旅行に行ってもなかなか本気で楽しめないですよね。少なくとも私はおそらくそうです。
このように、資産を持っているということは、精神的安定性の面からも有用であるかもしれません。
不動産という現物価値、そして精神的安定性という価値、資産性のある住宅を購入するということは様々な面で人生に良い効果があるようですね。
私も早く良い物件を購入したくなりました。
どこかの誰かのお役に立てば幸いです。