少子高齢化による社会保障費の増加は増税や社会保険料の増加という形で人々の生活を少しずつではありますが確実に苦しめています。
税金という存在は、名を替え品を替え、いつの時代にも存在していました。
そんな税金や社会保険料を人々はどの程度負担しているのか。具体的な数値を用いて解説します。
国民負担率とは
人々が税や社会保険料をどの程度負担しているのか、国民負担率という数値を用いて解説しようと思います。
国民負担率(national burden ratio)とは国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合のこと。国税や地方税の合計である租税収入金額を国民所得で除した「租税負担率」と医療保険や年金保険などの社会保障負担額を国民所得で除した「社会保障負担率」を合算した値になる。国民がどれだけ公的な負担をしているかを示し、社会福祉の充実度合いを測る指標とされる。
野村証券HPより
国民全体の所得、つまり稼いだ金額の内、税金と社会保険料をどの程度支払っているかという割合ですね。簡単に言えば、給料の内どの程度お上に天引きされているかという割合です。
これが50%であれば、かの有名な五公五民ということになりますね。
国民負担率の意義
国民負担率は、毎年財務省から公表されています。
国民負担率は、名目としては「社会福祉の充実度合いを測る指標」と言われていますが、どうなのでしょうか。所得の内、どの程度が税金や社会保障費に回されているかがわかったとしても、それ即ち社会福祉の充実度合いとイコールになるとは安易に結び付け難いような気がします。
特に高齢化が極端に進んでいる日本においては、保険料を投入される対象者が多いため、社会保障費の総額が多かったとしても、1人1人への社会福祉の充実度合いが高くなるとは言えないのではないでしょうか。
国民負担率の推移
国民負担率が各年でどのように推移しているか見てみましょう。
こちらも財務省のホームページにて確認することができます。
あえて棒グラフではなく数字の羅列にしているのは一見わかりにくくしているためでしょうか。どう考えて見辛いですね。
具体的な数値を確認すると、年々増加していることがわかります。
最新の令和4年度(2022年)の国民負担率は46.5%です。
約50年前(1970年)は24.3%で、それと比較すると2倍近い数値となっています。30年程前の平成元年(1989年)は37.9%なので、それと比較しても1.2倍程になっています。
中身を確認すると、国税、地方税、社会保険料(社会保障負担)全ての項目で増加しており、特に社会保険料の増加が顕著となっていて、約50年前(1970年)の5.4%から18.7%と4倍近い数値に、約30年前(1989年)の10.2%と比較しても2倍近くの数値となっています。
この表をざっと見るだけでも、異常な増加幅であることがわかります。
国民負担率の将来予測
上記の通り国民負担率は年々増加しており、少子高齢化の改善が全く見込まれない現状においては、残念ながら今後も増加することが見込まれる。
政府は国民負担率を50%以内に収めるという方針が現状ありますが、政府の口約束など簡単に反故にすることができるので、いつまでその方針が続くかわかりません。
ちなみにこちらが諸外国との国民負担率比較データです。
こちらを見ると、諸外国と比べた場合日本の国民負担率はまだ低い方のようにも見られてしまうので、それを理由に国民負担率を上げる可能性は十分にありうるのではないかと推察します。
どちらにせよ、あまり明るい未来を予測することはできません。自分の身は自分で守る必要がある時代はもう既に到来してしまっています。
おわりに
国民負担率は低いに越したことはないと思います。
名目上は国民負担率の高低が社会福祉の充実度を表すと言われていますが、前述の通り高齢者数が急速に拡大している現状において、国民負担率が増加したとしても社会福祉のクオリティは上がらず、現状維持がやっとなのではないか思われます。
正直この10年で社会福祉が充実した実感はありません。
昨今は急激な物価高もあり、人々の暮らしはどんどんと厳しいものになっています。
国民負担率が高い国がまだまだあるので日本はもっと上げても構わないと思わずに、低い国もまだまだあるのでどうにか低くすることはできないかと、国民の負担を和らげる方向で検討してもらうことを願うばかりであります。
コメントを残す