フリーランスや個人事業主、小規模企業経営者にとって非常に有用な資産形成手段として、小規模企業共済があります。
小規模企業共済は、その掛け金額全額が所得控除の対象となるなどメリットも大きいですがデメリットもあります。
この記事では、そんな小規模企業共済のメリットとデメリットを紹介します。
- フリーランスや個人事業主の方
- 小規模事業の経営者の方
- 独立開業を考えている方
- 小規模企業共済のメリット
- 小規模企業共済のデメリット
- 小規模企業共済に加入する際に注意すべきこと
Contents
小規模企業共済とは
小規模企業共済は国の機関である中小機構が運営する、フリーランスや個人事業主、小規模企業の経営者や役員のための積み立てによる退職金制度です。
毎月5000〜70000円までの設定した金額を積み立てることができ、積み立てた金額は全額所得控除の対象とすることができます。つまり非課税で積み立てを行うことができる制度ということですね。
積み立てた共済金は、退職・廃業時に一括または分割で受け取ることができます。一括の場合には退職所得として、分割の場合には公的年金等の雑所得として受け取ることになるため、受け取り時の税制メリットもあります。
また、掛け金や積み立て期間に応じて事業資金の貸付けを受けることもできます。
このように、非常にメリットの大きい制度なのです。
メリット
所得控除の対象となる
小規模企業共済の一番のメリットは拠出した掛金額が確定申告の際に所得控除の対象となることです。つまり、非課税で積み立てを行えるということです。
例えば所得税率20%、住民税率10%で毎月50000円を拠出した場合、年間60万円を拠出することとなります。この金額を全額所得控除の対象とすることができるので、税率30%分、つまり60万円×30%=18万円分を節税することができます。
積み立て金額を多くすればするほど節税額も多くなり、実質的に非課税で積み立てを行うことができるので、資産形成を行う上で非常に大きなメリットと言えるでしょう。
受取時に税制メリットがある
小規模企業共済の積み立て金の受取時には、一括受取と分割受取の2つの方法から選択することができます。
小規模企業共済は退職金扱いになるため、この際に所得税法上特別な取り扱いを受けることができます。
一括受取の場合には、退職所得として積み立て年数に応じて所得税の対象から控除することができます。基本的に積み立て年数が長ければ長い程有利になります。
分割受取の場合には雑所得の公的年金等としての取り扱いを受けます。
どちらの受取方法でも通常の給与所得や事業所得として受給を受ける場合よりも有利な取り扱いとなるので、小規模企業共済のメリットの一つと言えるでしょう。
一括払いを用いることで掛金額をコントロールできる
小規模企業共済は掛金の支払い方法を、月額払い、半年前払い、一年前払いの3種類から選ぶことができます。この内、半年前払いや一年前払いといった一括払いを用いることで、積み立て金額を増減させて所得控除金額をコントロールすることができます。
一括払いは年度途中に申請して行うことができるため、例えば所得が多めに出そうな年には一年前払いを行って所得控除金額を増やすといった対応をすることができます。小規模企業共済の所得控除金額は、掛金を支払った年に行うことができるため、このようなテクニックを用いることができるのです。
フリーランスや個人事業主にとって、売上や所得をコントロールできることは大きなメリットの1つでありますが、小規模企業共済の活用によりこのメリットを高めることができます。
デメリット
資金が拘束される
積み立てた金額は自由に引き出すことができず、資金拘束されてしまうことはデメリットの一つと言えるでしょう。
正確には解約することもできますが、自己都合で解約した場合には掛け金の納付月数に応じて支給割合(返戻率)が変わってきます。加入期間が20年を超えていて自己都合解約をした場合には、返戻率は元本を上回ってきますが、加入期間が20年未満ですと、元本割れの可能性があります。そのため生活資金をしっかりと確保した上で積み立てを行うことが重要です。
フリーランスや個人事業主の場合、不安定な生活となってしまう可能性が高いため、自由に引き出しをできない資金が増えてしまうことはデメリットの1つであるといえるでしょう。
減額した掛け金額は運用の対象とならない
小規模企業共済の掛け金額は、予定利率1%で運用されます。
退職や廃業時に受け取れる積立金額が掛け金合計よりも多くなるのはこのためです。
一方で、積立途中に掛け金額を減額した場合には、減額分の掛け金額は運用の対象となりません。
例えば、当初月額5万円を掛け金として設定しており、その後月額1万円に掛け金額を減額した場合、これまで月額5万円で積み立てていた内の差額4万円については1%で運用されないのです。
低金利が続くこのご時世において年利1%は非常に大きく、その運用対象とならないのは非常に大きなデメリットと考えられます。
おわりに:私はメリットの方が大きいと判断します
扱う金額が大きいために、メリットデメリットを慎重に勘案する必要があるかと思いますが、私はメリットの方が大きいと判断して満額加入しようと思います。
福利厚生や退職金制度もない私のような個人事業主にとって、資産形成は非常に大きなポイントです。その点、非課税で毎月7万円、年間で84万円を積み立てることができる小規模企業共済は非常に魅力的な制度に感じました。
もちろんまずは生活資金を確保することが最優先ですので、収入の軸も増やしつつ資産形成にもしっかり取り組んでいきたいと思います。
どこかの誰かのお役に立てば幸いです。
編集後記
年末年始から始まった息子の育児集中タイムがようやく終了しました。イヤイヤ期真っ盛りの息子は少し外出するだけでも私のエネルギーを全て持っていってしまう程のはしゃぎっぷりで、最終日は息子と一緒に昼寝をしてしまいました。
今日からは通常営業となるので、また1歩ずつ、仕事に家事に育児にと頑張っていきたいと思います。