「任せる」と「丸投げ」の違いについて考えてみた

「任せる」と「丸投げ」の違い

仕事をする上、そして生きる上で人と関わることは避けられません。

人に仕事を依頼する場合、その人を信頼して仕事を任せることがある一方、全てを丸投げしてしまうことで後々のトラブルに繋がってしまう場合もあります。

では、「任せる」と「丸投げ」は何が違うのか。少し考えてみました。

言葉の定義

それぞれの言葉の意味を、オンライン百科事典weblioにて調べてみました。

まず、「任せる」の定義はこちらです。

任せる

①仕事などを他にゆだね、その自由にさせる。

②相手の好きなようにさせる。

引用元:オンライン百科事典weblio「任せる」

続いて「丸投げ」の定義はこちらです。

丸投げ

①発注者から仕事を請け負った元請けが、下請けから手数料を取って仕事をそっくり他者に任せること。

②本来なら担当すべき業務をそっくり他者に任せること。

引用元:オンライン百科事典weblio「丸投げ」

明確な対比関係は意味としては示されていませんが、やはり「任せる」はポジティブ、「丸投げ」はネガティブな印象を受けます。

注目したのは、「丸投げ」の意味として記載されている、「本来なら担当すべき業務」という言葉です。この言葉に全ての答えが含まれているのではないかと考えます。

委託者と受託者の関係性

「任せる」と「丸投げ」の違い、それは「関係性」ではないかと考えます。

「任せる」場合には、依頼者も仕事の内容をしっかりと理解しており、いざとなった時に巻き取れるように、常にフォローできるような体勢を整えています。また、その仕事の結果として生じた成功は任された人のもの、一方生じた責任は依頼者が追う、非常に健全な関係性が存在しているのではないかと思います。

一方、「丸投げ」した場合には、何かトラブルが生じた際にも依頼者はフォローしない場合が多いです。そもそも、仕事の内容やすべきことを依頼者も適切に把握できていないため、しないのではなくできないのです。更に依頼者は、結果として生じた成果のみ搾取し、発生する責任は丸投げされた人に押し付ける傾向が強いように感じます。実に不健全な状態ですね。

weblioに紹介されていたように、「丸投げ」された仕事は、本来であれば依頼者が担当すべき業務なのです。

つまり、委託者と受託者のそれぞれの責任の範囲という前提が崩れてしまっているということを意味します。その分の報酬上乗せといったリターンが丸投げされた側にも発生していれば納得感があるかもしれませんが、本来委託者が引き受けるべき仕事や責任が、曖昧な契約や職務分掌により、一方的に受託者が丸投げされて負荷が増加しているケースがほとんどではないかと思います。同様に、自発的な受託者に甘えて次々に丸投げされるケースもあります。完全に善意につけこまれている状態です。

そのような状態は、受託者側のマンパワーに完全に依存している状態であるため、その人が潰れた場合、又は担当者が変更となった場合には、すぐに破綻してしまうような非常に不安定な状態でもあります。

このように考えると、「任せる」の場合には委託者と受託者がお互い同等の関係、そして責任の範囲が明確であり、リスクや労力が対価へ適切に反映されている状態にある。

一方の「丸投げ」の場合には、委託者と受託者に上下関係が存在してしまい、更に責任の範囲が不明瞭となり、リスクや労力と対価が見合っていない状態を指すのではないかと推察します。

まとめ:お互い任せ合う関係になりたい

人には得意不得意があり、それは優劣が生じるものでもありません。

各々の得意分野で任せ合う、そんな関係であれば皆幸せになれるのではないでしょうか。

深堀りしてみると、丸投げは非常に不健全な関係性であることがわかりました。しかし、そんな関係性が今日もいたるところで生じています。

全ての人が当事者意識を持って貢献し合う。そんな組織やコミュニティは理想論に過ぎないのでしょうか。

願わくば、私もそんな関係性を築き上げたいものです。

どこかの誰かのお役に立てば幸いです。